
乳房に痛みや腫れを感じて、触れるとしこりや熱い感じがあり、皮膚に赤みが見られることがあります。さらに、インフルエンザのように、急に高熱が出たり、頭痛、悪寒などが起こることがあるかもしれません。
これは乳管閉塞(にゅうかんへいそく:乳管の中の母乳の流れの滞り)や、乳腺炎の症状かもしれません。乳管閉塞と乳腺炎は、現在、相互に関連するひとつながりの症状として認識されています。
腸内に細菌叢(マイクロバイオーム)があるように、乳管の中にも細菌叢があります。それらの菌の通常のバランスがくずれたとき、乳管の内側が細菌が産生した物質(バイオフィルムなど)でせき止められ、流れてきた母乳が出口に向かって進みにくい状態になることがあります。
授乳の間隔があいたり、赤ちゃんが効果的に飲めていなかったり、乳房が圧迫されたりして、流れなくなった母乳が乳房に溜まった状態が続くと炎症が起こることがあります。また、疲労が原因になることもあります。(この時点では、必ずしも感染をおこしていないことがほとんどです)
こんなことはありませんか?
いつもの生活にちょっとした変化があっておっぱいの調子が悪いとき、振り返ってみるとそれは乳管閉塞、乳腺炎の始まりかもしれません。
そんなときは次のことを試してみてください。
とはいえ、しこりがすっかりなくなるようにと、いつもより多く授乳したり搾ったりする必要はありません。こうすると逆に母乳の量が増えて乳房内の圧力が上がって症状が悪化する可能性があります。赤ちゃんが望む授乳回数やおっぱいが快適に感じられる方法に合わせてください。
赤ちゃんが飲んでくれないときや授乳後でもまだ胸が張っている場合は、張りがおさまる程度に母乳をやさしく搾ります。
乳腺炎のときの母乳は、ほとんどの場合飲ませても安全です。(赤ちゃんが健康ではない場合など、心配なときは医療者に相談しましょう。)
回復するまで周りの人にできる限りの助けを求めて、赤ちゃんと一緒に横になって休みましょう。
さらにこんなときは……
授乳(または搾乳)しているのに母乳が出てこない!というときは無理に搾り出そうとしないでください。これは本当に痛くて、腫れを悪化させます。
以下を試すと効果的です。
*イブプロフェンなどの抗炎症薬を服用する
*冷やす(心地よい程度に冷やすことは乳房の炎症を和らげるが、冷やしすぎないように注意)
*冷やすことが不快な場合は、母乳の流れを助けるため、もしくは快適さのために穏やかに温めてみる(温め過ぎは症状を悪化させることもあるので注意)
医療機関での援助が必要な場合
症状が悪化していない場合は、24時間は自己ケア(赤ちゃんが効果的に飲めているか確認する、いつも通りの授乳または搾乳をする、休息を取る、イブプロフェンなどの抗炎症薬を服用する、冷やすまたは温める)を続けます。この後も自己ケアを続けられますが、以下の場合はすぐに医療機関を受診してください。
*濃い乳汁や膿が出る
*38度以上の発熱が続く
*症状がさらに悪化する
抗生物質が処方されることがありますが、服用している間も自己ケアを続けましょう。さらに悪化して膿瘍になることを防ぐためにも、授乳を続けた方がいいことがわかっています。多くの場合、1、2日で症状が改善しますが、3日経っても改善がみられないときは、医師に相談しましょう。
抗生物質が処方された場合は、改善がみられても最後まで服用してください。
乳腺炎の予防
日頃から、通常の自分と赤ちゃんの授乳のペースを知っておきましょう。変化に気付いたら、いち早く体を休め、いつも通りのペースに戻るように赤ちゃんのニーズに合わせて授乳することで症状が進むことを防ぎます。
あなたも、早くよくなるといいですね。
乳首が切れてる、痛い…。乳房がしこってる、痛い…。そんなときの対処法や予防のコツをまとめました。
そんなときは、個別の相談をお受けしています。
あなたの今の困りごとが少しでも楽になりますように、遠慮なくご相談ください。
*相談は無料です(電話代や通信費はご負担ください)
*相談員は、授乳の経験を持ち、トレーニングを受けて認定されています