乳房を含ませようとすると
そっくり返って怒ったように泣き出す赤ちゃん
お母さんも泣きたい気持ちになることでしょう
乳房を拒んでいるように見えたとしても
赤ちゃんはお母さんが大好きです
もう一度はじめから練習をしてみるつもりで
赤ちゃんの気持ちに寄り添いながら
2人に合う方法を探していきましょう
哺乳びんやおしゃぶり、乳頭保護器などを使ったときに、お母さんの乳房とは吸い方が違うために、赤ちゃんが混乱して乳房に吸いつけなくなることがあります。特に、早い時期に、またはひんぱんに哺乳びんを使うと乳房の吸いつき方がわからなくなる赤ちゃんがいるようです。
また、授乳のときに頭をぐっと押さえつけられた経験のあとで飲みたがらなくなったようだと感じる人もいます。
乳房が戦いの場とならないようにしましょう。授乳以外のときも、乳房の近くで肌と肌がふれあうように赤ちゃんを抱いて、ゆったりといっしょに過ごすことで、乳房は心地よい場所ということを赤ちゃんに伝えましょう。肌と肌のふれあいにより、 赤ちゃんを、そしてあなたをも落ち着かせてくれるホルモンが分泌され、 赤ちゃんは乳房から飲むことに対して、より前向きになってくれるでしょう。
大阪府 まつおかさん
哺乳びんからしか飲めなかった赤ちゃんが、おっぱいを飲めるようになった体験談をお話しします。
おっぱいを飲めなくなったきっかけは産院で入院中にニップルシールド(乳頭保護器)を使ったことです。私は右の乳首がくぼんでいて赤ちゃんがうまく吸いつくことができず、シールドを使うことを助産師さんから勧められました。左の乳首を吸わせて、右のシールドを吸わせて…と交互に繰り返しているうちに赤ちゃんが混乱してしまったようです。「なんだかシールドの方をうれしそうに吸っている…?」と気づいたころには遅く、私のおっぱいを近づけると泣いてしまうようになりました。
退院してからも哺乳びんからしか飲むことができませんでした。なんとかおっぱいを飲んでもらえるようにさまざまな試行錯誤がスタートしました。幸運にも私の母がラ・レーチェ・リーグのリーダーを務めており、たくさんのアドバイスをくれました。
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おっぱいを吸ってもらうには色んな方法があり、母は何パターンも教えてくれました。その中で私に合っていたのは、乳首に母乳やミルクを垂らして「こっちに美味しいものがあるよ~」と赤ちゃんを誘導する作戦でした。そこに赤ちゃんの顔を近づけて大きく口を開けたタイミングでハムッとくわえさせる。赤ちゃんが吸ってくれました! 私がうれしかったのはもちろん、赤ちゃんの幸せそうな顔を見てやっぱり母乳育児をしたいと改めて思いました。
ただ喜んだのも束の間、吸いついてくれるのは運がよいときだけで、うまくいかないときはまた何日間か吸ってくれないこともありました。「やっぱりおっぱいはもう飲んでくれないのかな…」と思うと辛くてしかたありませんでした。子どもが成長するにつれて焦るような思いもありました。
「抱っこをしている時間=授乳の練習=泣いている時間」ということが1ヵ月ほど続き、最近笑顔で抱っこしていないなと気付きました。幸せになりたいから頑張っているのになんだかおかしい…と思い、私は無理に練習することをやめました。ゆったりと座り赤ちゃんを胸に抱き、服は開けておいて赤ちゃんがおっぱいの上で自由に過ごせるようにしました。お昼寝をしてもらったり、おっぱいを赤ちゃんのほっぺに当てて遊んでみました。それから「あなたのことを愛しているよ」ということを伝え続けました。そうしているうちにお互いに笑顔で過ごせるようになり、赤ちゃんがおっぱいを楽しそうになめて遊ぶようになりました。
1週間ほどそんな風に過ごしていると、赤ちゃんが自分の意志でハムッと吸いついてきました。私は驚きました。それからはどんどん上達して何の問題もなく飲めるようになりました。私の赤ちゃんの場合ですが、吸い方を誰かに教わるのではなく自分でなめたり観察して学びたかったのだと思います。その環境をゆったりのんびりと与えられたのが、うまくいった要因です。赤ちゃんの様子をよく見て、どうしたいか一緒に相談したのがよかったようです。
母乳育児の悩みは繊細で、お母さんと赤ちゃんの数だけ百人百様だと思います。ラ・レーチェ・リーグは傷ついた心に優しく寄り添ってくれます。サポートしてくれた母に心から感謝しています。
ここからは余談です。形がよくないと言われていた右の乳首も、今では上手に吸うことができています。赤ちゃんに吸ってもらっているうちに、つんと尖った吸いやすい形に変わっていきました。母子ってすごいものだな~と感心します。
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(本文より一部紹介)
赤ちゃんの中には哺乳びんと乳房とを行ったり来たりしても、問題がおこらない子もいます。一方で、人工乳首が早い時期に、またはひんぱんに使われると、吸いつくのが難しくなる子もいます。赤ちゃんが乳房よりも哺乳びんを好むようになる、吸い方が弱い、うまく母乳を飲めなくていらいらする、乳房を完全に拒むといったときは、どうしたらいいのでしょうか? ぜひ覚えていてほしいことは、母乳育児中におこる困りごとはどんなものでもほとんど解決できるということです。多くのお母さんは赤ちゃんがもう二度と乳房を吸ってくれないかもしれないと心配しますが、母乳を飲むことは生きるために必要な“術(すべ)”であり、健康な赤ちゃんは本能的に母乳が飲めるように生まれついているものです。
まず、次のような方法を試してみましょう。うまく乳房に吸いつけない赤ちゃんが、落ち着いて乳房に吸いつき、喜んで母乳を飲むようになるためには、以下のうちの1つか2つ、場合によっては3つともそろうことが必要かもしれません。
・ より深く乳房に吸いつくこと
・ もっと速く母乳がわき出るようにすること
・ よりしっかりとした感触を味わうこと
*画像をからPDFが開きます。
*このシートは販売終了につき、改変せず、非営利目的であれば、自由にコピーできます。
*手でしぼる方法はこちら
ラ・レーチェ・リーグは、設立当初から、少しでも母乳をあげたいと願うお母さんを応援し、やめることも含め、どのような選択にも寄り添ってきました。一度の授乳でも、かけがえのない母乳育児です。
ここに掲載した情報はよくあるケースを想定しているため、すべての方に当てはまるとは限りません。
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