授乳お役立ちコミュニティNPO法人ラ・レーチェ・リーグ日本

menu

私たちについて

  1. ホーム
  2. 私たちについて
  3. ニュース
  4. ラ・レーチェ・リーグの災害支援活動(-2017年)

ニュース

ラ・レーチェ・リーグの災害支援活動(-2017年)

私たちラ・レーチェ・リーグは、阪神大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、広島の水害、そして熊本地震など、大きな災害が起きるたびに、その渦中で赤ちゃんを抱えて不安な生活を送っておられるお母さんに届くように、と、母乳育児相談窓口を設置し、災害時の母乳育児支援活動を継続してきました。


委員会の立ち上げ

2004年の新潟県中越地震を契機として、NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会ラ・レーチェ・リーグ日本母乳育児支援ネットワークの3団体が共同で「災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会」を設置し、2017年に「母と子の育児支援ネットワーク」を新たに構築いたしました。

★ネットワークでは、被災時に役に立つさまざまなパンフレットを作成しています。最新のパンフレットは、こちらからダウンロードしていただけます。


ユニセフと連携

東日本大震災の際に、ラ・レーチェ・リーグはユニセフ赤ちゃん相談員として、お母さんからの電話相談を受けました。

◆2011年の災害支援活動

2011年、東日本大震災が発生しました。
この厳しい状況の中で、赤ちゃんとともにいるお母さんたちに、少しでも安心して赤ちゃんに授乳できるよう、情報と励ましを届けたいと願い、これまでの災害の際に立ち上げた電話相談窓口を再開しました。

◆ユニセフ赤ちゃん相談員に

また、他の母乳育児支援団体と協力して、ユニセフ赤ちゃん相談員として、お母さんからの電話相談を受けました。

ユニセフのホームページ:災害時の母乳育児を応援しますでは、「普段の生活ばかりでなく、災害時こそ母乳育児」をと願うユニセフの活動が紹介されています。

◆ユニセフ赤ちゃんの栄養相談ホットラインを開設

ユニセフ:赤ちゃんの栄養相談ホットラインを開設では、ラ・レーチェ・リーグの災害時の取り組みが紹介されています。

また、ラ・レーチェ・リーグ日本「災害電話相談窓口」の連絡先や災害時の母乳育児情報の QRコードが入ったウエットティッシュを作り、配布いたしました。


世界中からの支援

ラ・レーチェ・リーグは、60年前にアメリカで始まり、世界中に広がった、お母さんどうしの母乳育児支援の活動です。
東日本大震災の情報が世界に届くと、日本のお母さんと赤ちゃんを案ずるメッセージが、世界中のラ・レーチェ・リーグから日本に寄せられました。
そして、被災地での母乳育児支援に役立ててほしい、と、たくさんの寄付金が、世界各地から届けられました。

◆支援金の額と使途

届けられた支援金の額: 1227,160円 

支援金の使途:
・震災時の母乳育児支援情報入りウエットティッシュ作成 350,000円
・インフォメーション・シート「母乳で育てるコツは?」印刷費 39,900円
・ウエットティッシュとシートの発送費 20,620円
・ユニセフ後援赤ちゃんホットライン経費 38,906円
被災地新リーダー10人プロジェクト 300,000円
・仙台訪問 268,490円
・小冊子『災害時の「乳幼児の栄養と授乳情報」シート集』印刷費 209,244円
合計 1227,160円   

◆小冊子『災害時の「乳幼児の栄養と授乳情報」シート集』を公開

直前の2月に大きな地震があったニュージーランドからは、ラ・レーチェ・リーグ・ニュージーランド医学諮問委員の方が発行されたInfant Feeding in Emergencyが、支援に役立つ情報として届けられました。これは、妊娠中の方を含め赤ちゃんを育てている全ての方と、その支援に当たっている方に向けて、災害時に役立つ情報を、トピックごとにシンプルな17の情報シートにまとめたものでした。
私たちは短期間のうちにそれを翻訳し、だれでも閲覧できる情報として、オフィシャルサイトで公開いたしました。

この情報は、世界中から届けられた支援金を活用して、2016年5月に、小冊子『~平時から備えたい~ 災害時の「乳幼児の栄養と授乳」情報シート集』として印刷発行されました。

通常は著作権のある発行物として販売を行っていますが、大規模な災害が発生した場合は、被災されたお母さんやその支援者に情報を迅速に届ける目的であれば、冊子のコピーを許可することを、オフィシャルサイトでお知らせすることを想定しています。

発行準備を進めていた4月に熊本地震が発生。
このときも、準備段階の原稿を「災害支援のためであれば印刷・配布OK」として、オフィシャルサイトからダウンロードできるように公開しました。


被災地支援としての「集いの出前」

<急性期が過ぎて>

災害時の電話相談窓口は、東日本大震災から半年たった9月には、相談が入ることがほとんどなくなり、一定の役割を終えたように思われました。とはいえ、被災地は復興からはまだまだ遠い状況にあり、その中で、出産、育児されている方々がいらっしゃるのに、私たちの災害支援活動は、これで終了としていいのだろうか、という思いが残りました。

2012年9月、ラ・レーチェ・リーグに何ができるだろう、と考える中で、まずは、自分たちのボランティア仲間が、今、被災地で、どのような思いで過ごしているのか、耳を傾け、そして応援したい気持ちを届けたい、と、仙台のリーダーを訪問しました。
現地のさまざまな実際の話を聞く中で、そこで暮らすリーダーの「今こそ母乳育児支援が必要」との言葉が深く印象に残りました。

<どんな支援を届けるか>

ラ・レーチェ・リーグは、普段から、赤ちゃんを育てるお母さんに、さまざまなサポートを提供しています。中でも、お母さんどうしが集まって母乳育児について経験やコツ、思いや励ましを交換し合う「集い」の開催は、中心的な活動です。

リーダーは、お母さんどうし、どんな経験や思いでも肯定的に受け止め合いながら話し合えるためのかじ取りと、母乳育児についての適切な情報提供ができるためのトレーニングを受けています。

毎日の子育ての中に母乳育児があり、それは生活に密着したものです。
実際に今母乳をあげているお母さんどうしが集まって話し合うことが、それぞれのさまざまな悩みを解決していく様子を、毎月「集い」で目にしてきた私たちは、その「集い」こそを、被災された地域で赤ちゃんを育てるお母さんに届けたいと思いました。

そこで、これまでは、リーダーが住んでいる地元で開催されてきたこの「集い」を、初めての試みとして、リーダーの住んでいない地域へ、「出前」することにしました。

<数ある被災地の中で>

「集い」を出前したい。そんな思いがあっても、実際にどこに届ければいいのでしょうか。被災地は広く、そのすべての場所に、赤ちゃんを育てるお母さんがいるはずです。
災害直後から支援活動を続けてこられたNPOの方に相談したところ、これまでにつながりのない団体が突然行って何かをすることは難しい状況であり、現地でキーパーソンとなる、専門家や、母親グループなどとつながれば、うまく行くのではないか、との提案を受けました。

ちょうどそのころ、岩手県釜石市出身のリーダーが故郷に赴いた折、大槌町のお母さん、そして、釜石市の保健師さんと出会いました。
大槌町の仮設住宅で震災後に子育てサークルを始められたこのお母さんは、ちょうどお二人目を出産されたところで、私たちの「集い」の計画をとても喜び、会場探しを引き受けてくださいました。
残念ながら、そのとき大槌町では思っていた日程に会場を押さえることができなかったのですが、代わりに、釜石市の保健師の方が、釜石市で会場を見つけてくださり、集いが実現することになりました。

実際に授乳中のお母さんご自身が「集い」の開催を願って動いてくださったこと、また、そういったお母さんと日常的にかかわりを持っている行政の職員の方がニーズを感じて動いてくださったこと。
私たちが支援を届けたいと思うとき、そのような地元のニーズとつながれることの大切さをかみしめた出会いでした。

<釜石市の後援を得て>

そして、市役所とつながりながら災害復興支援活動をされていた方を別のリーダーが知っていたことから、釜石市子ども課との出会いがありました。
「集い」は、市の後援を得て開催される運びとなり、全戸配布の復興釜石新聞への記事掲載、市内の保育所、子育て支援センターおよび子ども課窓口へのチラシの配置、新生児訪問や母子手帳交付時のチラシ配布、釜石市HPへの掲載などを通じて、多くの方に、「集い」開催が伝えられることとなりました。

集いに参加したお母さんの中から、「こんな集いを自分でも開催してみたい」と感じて、リーダーとなる方が現れれば、これから日常的に母乳育児のサポートを届けることができるようになります。
広範囲に渡る被災地のさまざまな土地で集いを開催していきたい思いも強かったのですが、リーダー誕生までは同じところへ継続的な支援を、と考え、市の後援を受けて安心して開催できるようになった釜石市で、定期的に、集いをお届けするようになっていきました。


岩手県釜石市に初めて集いを出前

◆2013年、被災地での集いを初開催

これまで、ラ・レーチェ・リーグでは、本部より認定されたリーダーが、自分の住まいの近くや在住している地域で集いを開いていました。
2013年、初めての試みとして、東日本大震災の被害の大きかった地域のひとつ、岩手県釜石市に、ラ・レーチェ・リーグの集いをお届けすることになりました。

◆「集まろう!語り合おう!~だれでもできる母乳育児の集い~」

岩手県盛岡市、千葉県、大阪府にいる3人の認定リーダーが、釜石市に集まることが決まり、2013年9月17日(火) 午前10時~午後1時、
釜石市青葉ビル 研修室で開催された集いには、大人16人、子ども12人が参加されました。

集いは、ラ・レーチェ・リーグの認定リーダーが進行します。
参加された方の経験を話していただきながら、アイデアを交換していきます。

◆当日の様子

・ラ・レーチェ・リーグの紹介
・自己紹介
・2 つのグループに分かれての話し合い
・それぞれのグループでの話し合いの紹介とさらなる情報提供
・ラ・レーチェ・リーグからのお知らせ(現地でリーダーとして活動する人の募集など)
・食事をとりながらのフリートーク

話し合いでは、”母乳で育てていてよかったと感じたこと”についての質問をきっかけに、参加されたお母さんの今困っていることや聞きたいことについて、それぞれの経験を話してもらったり、ラ・レーチェ・リーグの母乳育児情報をお伝えしたりしました。

◆参加者に聞いた「母乳で育てていてよかったと感じたこと」

「荷物が少ない」
「上の子はミルクだったけど、ミルクを買う必要がないことがすごく助かる」
「寝ながら授乳できて楽」
「すごくかわいいと思える」
「時間を気にしないで 飲ませてあげられる」
「子どもが具合悪くなっても母乳が飲めているおかげで、脱水にならずにすんだ」
「授乳で泣き止んでくれると、この子のそばにいたいと感じられる」

◆参加者からの質問

「授乳クッションは必要か?」
「乳頭の痛み」
「おっぱいのやめ方」
「職場復帰と授乳」
「母乳の出が悪いような気がする」
「混合から母乳だけにするには」
「夜によく起きる」


出張の集いは5年間で12回

第1回目の集いの後、2017年9月までの間、継続して集いを開催しました。

2014年6月4日(水)釜石市青葉ビル 研修室

2014年10月22日(水)甲子子育て支援センター

2015年6月23日(火)甲子子育て支援センター

2015年10月26日(月)中妻子どもの家子育て支援センター

2016年6月13日(月)甲子子育て支援センター

2016年10月3日(月)鵜住居保育園子育て支援センター

2016年9月20日(火)宮古地区子育て支援センター にこにこルームみやこ

2016年9月23日(金)大船渡市子育て支援センター すくすくルーム

2017年5月31日(水)大槌町地域子育て支援センター かりん

参加者からの疑問・質問

・自分が病気の時、赤ちゃんに母乳をあげていい?
・乳首を嚙まれて痛い。どうすれば?
・卒乳に関して、検診の保健師さんと、助産師さんとで、指導が違って混乱している。
・2人目が欲しいので、おっぱいをやめることを検討しているけれど、自分がとまどいを感じている。

参加者の感想(アンケートより)

・周りに流されておっぱいをやめる方向でしたが、育つタイミングで必要だと分かったので、欲しがったらあげるようにしたいと思います。
・母乳のよさが分かったので無理に卒乳しようとはせず、子どものペースに合わせていこうと思いました。
・今まで自分が聞けずに悩んでいたことが、ほかのお母さんたちのお話を交えて聞くことができ、胸の中にあったモヤモヤがスッとなくなりました。参加して本当に良かったです。
・あまりほかのお母さん方から深く聞けないことを教えていただいて、なまのお母さんのお話を聞けて嬉しかったです。なんだか安心した気持ちになりました。子育てに間違いはないんだな、と思いました。私が子どもを思ってやっていることであれば、それが一番だと思いました。
・たくさんのお母さん方からいろいろとお話が聞けてとてもよかったと思います。次回もまた参加したいです。
・どんな形でも間違ったことってないんだなあと思い、安心しました。子どもたちの気持ちを読み取り、子どもたちのことを一番に考え寄り添っていけたらと思いました。
・たくさんの意見が聞けてすごく自分のためになりありがたかったです。欲を言えば、子どもを預けてゆっくり聞きたかったり、もう少し時間が欲しかったかなと思います。今日はすっきりしました。また、ぜひ来てほしいです。
・母乳育児が終わった今でも参考になることがありました。病気に自分がかかっていても、その免疫?抗体?が 子どもに与えられるので飲ませていいということや、風邪のときも薬を飲んでいる時も与えていいというのは これから孫ができたときなどにも参考になるなと思いました。

2017年6月30日(金)甲子子育て支援センター

参加者からの疑問・質問

・卒乳や断乳がどのようなものか興味があります。周りは断乳をした人ばかりで、自然に卒乳した人がいないので、自然な卒乳ってどのようなものか知りたいです。
・おっぱいが大好きでずっと続けようと思っていましたが、妊娠していることが分かって、医師からおっぱいをやめるようにと言われたので、そろそろ卒乳をさせたいです。
・職場復帰するので、おっぱいをどうしようかと思っています。保育園がまだ決まっていないので、母乳を預かってくれるかどうかわからないです。
・1人目には3歳になったらやめようと言ってきました。3歳になったけれど、やはりなかなかおっぱいなしで寝かしつけることが難しく、試行錯誤しました。2人目におっぱいをあげていると上の子がおっぱいを触りに来るので、無理にやめさせたからではないかという悔いがあります。
・これまで参加した集いで、来月3歳になる子がおっぱいを欲しがっても、あげないようにしている、と発言しました。『私だったらあげると思う』、という、5人の子どもを育てたお母さんの言葉を聞き、その後ほしがったらあげるようにしたものの、夕飯の支度や朝ごはんの支度をしようとすると、それまで遊んでいたのに退屈になっておっぱいおっぱいと欲しがってくるし、ソファにすわるとおっぱいを飲みたがるので困っています。

参加者の感想(アンケートより)

・母乳について話す機会はなかなかないので、このような機会があると同じ悩みの人がいるんだなとわかると心強い。
・ほとんど子どもに付き合っていたのであんまりお話を聞けませんでしたが、知っているリーダーさんたちで安心してお話できました。
・新しいヒントをたくさんいただきました。
・白斑は吸わせ方が大切ということがわかりました。1歳を過ぎたら卒乳しなければいけないという固定観念があったけど、3歳過ぎても飲ませている方の話を聞いて、好きなだけいっぱい飲ませてあげたいと思いました。
・母乳育児をされている皆さんと悩みを共有し、解決策を教えていただくことで見通しを持てました。また、上の子のことでずっと引っ掛かっていたことをストンと落とした気分でうれしかったです。

2017年9月28日(木)宮古地区地域子育て支援センター

参加者の感想(アンケートより)

・初めて参加しました。今まで不安に思っていたことや情報に惑わされていたことが皆さんとお話しすることができて、スッキリしました。そして、悩んでいるのは自分一人と思っていましたが、実はみなさんも同じような悩みを持っているのだと思い、安心しました。添い乳はダメなことだとずっと思っていましたが、これからは続けたいと思います(笑)
・ラフな感じで話ができて良かったです。思っていることを聞いてもらったり、悩んでいたことが解決出来ました。
・子供を遊ばせながら、育児について気軽に話が出来てよかった。日頃気になっていることを聞くことができて良かったです。雨ですが、気持ちがすっきりしました。
・体験談等お聞きできてよかったです。

東日本大震災被災地への集いの出前はこの回で最後となりましたが、同時期に始まった、全国どこからでも参加できるオンラインの集いへと引き継がれました。


ママと赤ちゃんのお茶会in 熊本市

2016年、熊本で大きな地震が発生した際には、「ママと赤ちゃんのお茶会in 熊本市」を開催しました。

日時:災害数か月後の2016年7月17日
場所:熊本市東部交流センター
主催:被災された熊本在住の国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)のメンバー
共催:災害時の母と子の育児支援共同特別委員会
進行役:ラ・レーチェ・リーグ日本 リーダー

開催の様子はこちら


被災地新リーダー10人プロジェクト

被災地の母乳育児をサポートするために、世界中から届けられた支援金の一部を活用し、リーダーになって被災地で活動してくださる方のリーダー志願に関する費用を補助しています。