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すべての赤ちゃんを社会が守る、国際的な約束
~母乳代用品のマーケティングに関する国際規準(WHOコード)~

母乳を飲む赤ちゃん、ミルクを飲む赤ちゃん、母乳とミルクを飲む赤ちゃん。
すべての赤ちゃんの健康を守るために、日本を含む世界中の多くの国が約束したことがあります。WHOの「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」(以下、「国際規準」)、赤ちゃんの命にかかわる製品の宣伝や販売促進を規制し、安全に使えるようにするための約束です。

製造・販売は必要
「宣伝」はしない

ミルクを必要とする赤ちゃんにとって、その製造や使用は大切なことです。「国際規準」が規制しているのは製造や使用ではなく、製品を宣伝すること。また、例えば試供品を配るといったような販売促進活動をすることです。規制の対象となる製品は次のものです。

  • 乳児用ミルク(粉ミルク・液体ミルク)
  • 母乳の代わりに与えられることのあるすべての食べ物や飲み物 (6ヵ月未満の赤ちゃんを対象としたお茶や食べ物。36ヵ月までの子どもを対象としたミルクなど)
  • 哺乳びんとその乳首

「国際規準」はなぜ必要?

  1. 母乳が出るしくみを守る
    母乳は、お母さんの体から外に出ると、その出た量に応じてまたつくられる、というしくみになっています。例えば、母乳が飲めているにもかかわらず1回の母乳をミルクに置き換えることが続くと、その分だけ母乳が体の外に出る機会が減り、その後つくられる母乳の量に影響します。
  2. 赤ちゃんが乳房から飲む意欲を守る
    哺乳びんで飲む経験をすると、その後お母さんの乳房から直接飲むことを嫌がるようになったり、乳房から飲み取りにくくなったりする赤ちゃんもいます。
  3. お母さんの自信を守る
    自分は母乳で育てられる、と感じられるかどうかがお母さんの選択に大きく影響することがわかっています。出産の前に、あるいは産後母乳をあげ始めて不安を感じているときに、適切な情報やサポートの代わりに、ミルクの試供品が届いたり、「母乳だけでは育てられないかもしれないからミルクもあると安心」といった宣伝文句をひんぱんに見聞きしたりするとどうなるでしょうか。自分は母乳で育てられるという自信が揺らぎ、そして実際にミルクや哺乳びんを使ってみることで、母乳の分泌や赤ちゃんの飲み方に影響を与え、結果的に母乳で育てることが難しくなることがあります。

母乳の出る量(赤ちゃんの飲む量)には、よく言われるような「個人の体質」などではなく、このようなことが大きく関係しています。母乳を与えるお母さんに対して、製品をより多く売ることを目的とした働きかけではなく、適切な情報やサポートが届くようにとの願いから、「国際規準」は生まれました。

ミルクを飲む赤ちゃんがより安全で健康に育つために

情報やサポートは、ミルクを必要とする赤ちゃんのためにも、とても大切です。「国際規準」には、母乳の代わりになる製品を安全に使うための情報やサポートについても書かれています。例えば、製品のラベルには、誇大な宣伝やよいことだけを書いたり、理想的なイメージにつながるイラストを使用したりしないこと、適切な使用法や、使うときには専門家のサポートが受けられるよう促す記載をすることなどが求められています。そして、ミルクの品質が適切なものとなるように、また必要なミルクが安定して手に入るように、など、ミルクを飲む赤ちゃんがより安全で健康に育つための情報について、幅広くふれられています。

「国際規準」を守るのは
お母さんではなくて社会

この「国際規準」を守るのは、製品を作ったり売ったりする企業、保健医療従事者(ラ・レーチェ・リーグのようなボランティアも含む)、健康にかかわる施設(病院、クリニックのほか、保育所なども含む)、そして政府です。 「国際規準」を守るべき人たちの中に「お母さん」は入っていません。「国際規準」は、何かをお母さんに強いるためのものではありません。赤ちゃんとお母さんにかかわるすべての人や組織がそれを守ることによって、すべての赤ちゃんの健康が守られる。そのような環境を社会が作るためのものなのです。


ラ・レーチェ・リーグは、すべての赤ちゃんの健康のために「国際規準」を支持しています。
ラ・レーチェ・リーグは、「国際規準」を遵守する組織とのみ協力関係を築きます。

*「国際規準」は「国際基準」や「WHOコード」 とも呼ばれています。
*「国際規準」のより具体的な内容については、協力団体:母乳育児支援ネットワークの記事を参照ください。

全文をPDFでダウンロードできます。


使いません
「完全母乳(完母)」という言葉

「母乳が十分に出ない?」「母乳はいつまで?」……さまざまな疑問に寄り添い、母乳育児のコツと励ましを届けるラ・レーチェ・リーグは、「完全母乳(完母)」という言葉を使いません。一人ひとりのお母さんが温かく適切な支援を得られる社会を願うメッセージ。