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看護師と助産師が母乳育児を支援できるように支援しよう

ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル(LLLI)と世界母乳育児行動連盟(WABA)
世界保健デーを祝う共同声明 202047
https://waba.org.my/joint-statement-in-celebration-of-world-health-day-supporting-nurses-and-midwives-to-support-breastfeeding/

私たちの世界は、現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)により、大きな健康の危機に直面しています。ほかのすべての保健医療従事者と同様、看護師、助産師は、その対応の前線で戦っています。私たちは、命を助けるために働いている精力的で勇敢な姿に心からの敬意を表します。母乳育児は命を救い、多くの感染症や病気を予防します。看護師と助産師は、母乳で育てる家族への大切な支援を提供しています。COVID-19に際し、世界保健機関(WHO)と国際連合児童基金(UNICEF)は、必要なすべての予防策を講じながら、標準的な乳児栄養のガイドラインにそった母乳育児を推奨しています。

包括的でよく調整された母乳育児の保護・推進・支援のプログラムがあると、母乳育児の割合が増えることがわかっています[1]。保護・推進・支援という3つのアプローチの中で、家族への支援は、家族がこうありたいと願う母乳育児の目標に到達するのに効果的であり、保護と推進は、支援を受けるために必要な環境を提供します。妊娠中から子どもの2歳の誕生日までの最初の1000日間のどの時点においても、途切れることのないケアを母と子が受けられる支援が必要です[2]。


ホンジュラスで、母乳育児支援のための病院のルーティンをつくる

1980年代、まだ赤ちゃんにやさしい病院運動(BFHI)がなかったころ、マリアはPROALMAという国の母乳育児プログラムで活動していました。プログラムには、ホンジュラスの公立病院のすべてのスタッフのための研修がありました。産前訪問から母乳育児支援を提供することがルーティンになっていきました。ある公立病院では、父親が看護スタッフによる自然分娩クラスを受けることで、出産に立ち会えるようになりました。看護師は出産後1時間以内の早期授乳を日課の1つとして記録しました。正期産で生まれた健康な赤ちゃんは全員母子同室とし、しばしば母親と同じベッドで寝ました。看護スタッフはベッドの柵がきちんと上がっているかどうかを確認するだけでした。新生児集中治療室(NICU)に入院している赤ちゃんの母親は、母乳をしぼるように励まされ、手でのしぼり方を教わるか、無理なく歩けるようになったら搾乳器の使い方を教わりました。赤ちゃんが適切に吸いつくようになったとわかるまで母親は入院できるという方針を病院は採用し、新生児ケア担当の看護スタッフがアセスメントをしました。すべての看護スタッフが、母乳育児がスムーズに開始できるための支援を喜んで提供するようになりました。


看護師と助産師は、母親や家族のためだけではなく地域にとっても必須の保健医療サービスを広く提供します。彼女/彼らは、保健医療ケアのすべての面においてなくてはならない役割を持っています。母子保健や家族計画といった介入を含めた助産ケアは、妊産婦死亡、死産、新生児死亡の80%以上を防ぐ効果があると証明されています[3]。助産師が中心となった継続的ケアを受けることと、妊娠・出産・産後期を通してケアの満足度が上がること、母乳だけで育てる時期が長くなることには関連があります[4]。とはいえ、多くの地域では、効果的にそうしたケアを提供するだけ十分な数の看護師や助産師がいるとは言えません。看護師や助産師がいるところでも、皆が健康的に生きるのに必要な基本的保健医療サービスを提供するための能力、研修、機器、医療品が不足しています[5]。


日本で、助産師と地域のピアサポートグループがつながる

助産師のミホコは、いつも母親を地域のラ・レーチェ・リーグのグループに紹介しています。彼女は国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)でもあります。2020年現在日本では約950人のIBCLCがいて、そのうちの8割以上が助産師です。彼女たちの多くはラ・レーチェ・リーグが提供しているコミュニケーション・スキル研修を受けたことがあり、親たちの母乳育児のニーズや目標を尊重し、不安に耳を傾けるといった、クライアント中心の母乳育児支援をしています。家族を地域のピアサポートグループにつなげることによって、母乳育児のための温かい支援の輪の重要な部分を担っているこうした助産師に感謝します。


今年の世界保健デーにおいて、母乳育児を可能にするために働いている看護師と助産師を支援するために私たち皆ができることがあります。多職種が連携した力強い保健医療ケアチームの一員である看護師と助産師の役割を私たちは認識する必要があります。そうした彼女たちの力強い影響で、家族が母乳で育てることを選択し、自分たちが望むような母乳育児ができるようになるからです。また、看護師と助産師は、医療施設と地域の間を取り持って母乳育児支援をつなげていくという重要な役割を担っています。


米国で、母乳育児の困難を乗り越える自信をつける

ふたりの助産師による、サンディの3人目の出産経験はすばらしいものでした。彼女はそれまでの出産経験とラ・レーチェ・リーグ リーダーとしての研修から、今度は温かい支援を受けて柔軟な出産経験がしたいと願いました。出産を介助してくれる開業助産師と緊急な場合にかかれる自宅近くの病院の存在がカギでした。産前検診でたくさんの励ましを受け、いろいろなことを学びました。その日が来たときにふたりの助産師が自宅まで来てくれました。彼女たちはサンディに歩き回るように励まし、皿洗いや洗濯を引き受け、一緒に呼吸法を行い、陣痛が激しいときには精神的に支えました。こうした支援によってサンディは望んでいた出産を実現したのです。赤ちゃんのブランドンは軽度の舌小帯短縮症があり、母乳育児には困難が伴いましたが、助産師たちがサンディを励ましたおかげで、サンディは自分の力を信じることができ、困難を乗り越える方法を見つけることができました。ブランドンは自然に卒乳するまで3年以上母乳を飲みました。サンディは言います。「このお産は、3人の子どもの出産経験の中で最高のものでした。それはこのふたりの助産師の支援と励ましのおかげでした!」


世界母乳育児行動連盟(WABA)の母乳育児のための温かい支援の輪運動は、母乳育児をする親子を中核に据え、赤ちゃんの最初の1000日間[2]続きます。すべての場で継続的なケアが提供されるように、さまざまな関係者を結び付けたいと思っています。温かい支援の輪の中で一貫性のある情報を提供し、その家族にぴったりな場を紹介する仕組みにより、家族は継続的な母乳育児支援とスキルのある援助を確実に受けることができるでしょう。だからこそ、助産師を含む多職種連携の保健医療ケアチームは適切な研修を受けることが必須です[6]。こうした研修によって、チームのメンバーは母乳育児を支援するスキルを得て、自分たちの役割についての知識を深め、温かい支援の輪の中でほかの人につなげていく力を伸ばすことができます[7]。

私たちは一緒に、看護師と助産師を応援し、
母乳育児のための温かい支援の輪を作る必要があるのです。
看護師と助産師を応援するためになにができるかはこちらのサイトを参照ください。

  1. McFadden, A., Gavine, A., Renfrew, M. J., Wade, A., Buchanan, P., Taylor, J. L., Veitch, E., Rennie, A. M., Crowther, S. A., Neiman, S., & MacGillivray, S. (2017). Support for healthy breastfeeding mothers with healthy term babies. Cochrane Database of Systematic Reviews (2). https://doi.org//10.1002/14651858.CD001141.pub5
  2. 1000 Days. (n.d). 1,000 days.  https://thousanddays.org/
  3. WHO. (2020). 2020 International Year of the Nurse and Midwife Toolkithttps://www.who.int/docs/default-source/documents/yonm-2020/campaign-toolkit.pdf
  4. Mortensen, B., Diep, L. M., Lukasse, M., Lieng, M., Dwekat, I., Elias, D., & Fosse, E. (2019). Women’s satisfaction with midwife-led continuity of care: an observational study in Palestine. BMJ Open, 9(11), e030324. https://doi.org/10.1136/bmjopen-2019-030324
  5. Swerts, M., Westhof, E., Bogaerts, A., & Lemiengre, J. (2016). Supporting breast-feeding women from the perspective of the midwife: A systematic review of the literature. Midwifery, 37, 32-40. https://doi.org/10.1016/j.midw.2016.02.016
  6. Edwards, M. E., Jepson, R. G., & McInnes, R. J. (2018). Breastfeeding initiation: An in-depth qualitative analysis of the perspectives of women and midwives using Social Cognitive Theory. Midwifery, 57, 8-17. https://doi.org/10.1016/j.midw.2017.10.013
  7. Peven, K., Purssell, E., Taylor, C., Bick, D., & Lopez, V. K. (2020). Breastfeeding support in low and middle-income countries: Secondary analysis of national survey data. Midwifery, 82, 102601. https://doi.org/10.1016/j.midw.2019.102601

ラ・レーチェ・リーグ(LLL)は“母乳で育てたいお母さんを支援する”ボランティア団体です。「1対1の人間的なあたたかみを大切にし、お母さんがお母さんの思いに寄り添いながら支援する」ことを原点に、母乳育児の情報を提供し、励ます活動をしています。1956年にアメリカで誕生して以来、世界中に活動が広がりました。7人の創設者が始めた「母親から母親へ」という独特の支援の方法は、半世紀以上経った今もなお、世界各国のラ・レーチェ・リーグ リーダーに受け継がれています。https://llljapan.org/

世界保健行動連盟(WABA)は、世界規模で母乳育児を保護・推進・支援する個人と組織の世界的ネットワークです。WABAの活動は、「イノチェンティ宣言」、「すばらしい未来を作り出すための10のリンク(連結)」、「乳幼児の栄養に関する世界的な運動戦略」に基づいています。WABAの現在の中心団体は、乳児用食品国際行動ネットワーク(IBFAN)、ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル(LLLI)、国際ラクテーション・コンサルタント協会(ILCA)、ウェルスタート・インターナショナルと母乳育児医学アカデミー(ABM)。WABAは、ユニセフ(国際連合児童基金)の諮問資格を有し、また、国連経済社会理事会(ECOSOC)の特殊協議資格をもつNGOです。https://waba.org.my

日本では、母乳育児支援ネットワーク(BSNJapan)がWABAの支援団体として登録され、WABAから毎年発行される世界母乳育児週間のパンフレットを日本語に翻訳して紹介しています。https://bonyuikuji.net


地域でのピアサポート「つどい」

母乳のこと、離乳食のこと、月齢とともに変わる育児の悩み。
ラ・レーチェ・リーグの「つどい」はなんでも話せる、ママたちの居場所です。