母乳育児を続けているときに、急に医師から授乳を中止するように言われて戸惑っているのですね。
病気の治療中も母乳を飲ませることでお母さんはリラックスできます。また、母乳中に含まれる病原菌に対する抗体が赤ちゃんを病気から守ってくれます。いずれにしても、治療と両立できることも多いとされています。抗がん剤を使うときなど、授乳できない場合も稀にあります。授乳をやめる選択をした場合には、可能であれば急激にやめるより、できれば 徐々にやめていくほうが母子ともに負担は少ないでしょう。
世界保健機関(WHO)では、少数の例外を除き、大部分の薬は通常の量であれば授乳中でも安全に服用できるとしています。
また、国立成育医療研究センターのウェブサイトには次のように書かれています。
お薬を飲んでいるお母さんは必ずしも母乳をあげることをあきらめなくてはいけないわけではないですし、母乳をあげるために必ずしもお薬をやめる必要はありません。個々のお薬についての正しい情報をもとに、主治医の先生と相談しながら決めていくことが大切です。
「国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター:授乳と薬について知りたい方へ」より引用(2023年2月24日アクセス)
薬が必要になったときには、次の3点を考えましょう。
予防措置として授乳をやめるように言われることもありますが、母乳育児と薬の影響に詳しい多くの小児科医によれば、一般的には、母乳に出てくる薬は微量なので、赤ちゃんに影響しないことがほとんどです。急に授乳をやめると、お母さんは乳房が張り、乳腺炎にかかることも考えられ、もとの病状も悪化してしまう可能性があります。また、赤ちゃんは母乳に含まれる多くの免疫物質を受け取ることができなくなります。同じ治療効果のある別の薬を処方してもらえる場合もあります。医師に自分の気持ちを伝えて話し合ってみてはいかがでしょうか?
参考文献:UNICEF/WHO 『赤ちゃんとお母さんにやさしい母乳育児支援ガイド ベーシック・コース』医学書院、 2009年 P.286-289; P.292-294.
赤ちゃんやお母さんの病気、手術など、大変なときほど母乳は力を発揮します。それぞれの状況に応じて対応を探るための情報をまとめました。
ここに掲載した情報はよくあるケースを想定しているため、すべての方に当てはまるとは限りません。つどいに参加すると、よりあなたにマッチしたヒントが見つかるでしょう。